蕎麦好きの独り言(2014.06.02up)

その七、「多事多端」



今年は五月の後半から好天が続き六月に入っても雨は降らない。今日(6/2)は関東地方では気温30℃を越えここ庄内でもエアコンなしで室内にいるのも辛い。そう言えば去年の今頃も雨が降らずに晴天が続いたが一旦降り出したら後は際限なく…
結局各地に大きな被害をもたらして列島を駆け抜けた。
地球規模での異常気象が確実に進行しているのだろう。

毎年六月に入ると実に色々な行事が入る。
田舎の生活は地域の共同作業等が多く閉口する場合もあるが、逆に人との繋がりを再認識できる楽しみもある。
百姓絡みでは一から十まで草刈り真っ青である。
自分の田んぼや畑はもちろん、幹線道、水路や排水路周辺の草刈りは集落単位で割り当てがあり期限付きの強制労働である(笑)それに加え集会所周辺の草刈りも当番制で回ってくる。

我が家の草刈り機は整備もせずに何十年も使っていたため先日一台が昇天した。使用中に突然異音がし、回転刃が止まってしまったのだ。原因は明白なので修理する気にもならずに放置してある。長い間お疲れ様でした。

こんな具合に農業関連の機械は突然逝ってしまう場合が多く更新するのもまた大変なのだ。基本的に今の農業は機械がないとやっていけない。
一番頭に来るのが一年に三日もしか使わない田植機である。これがうん百万もするからたまったものではない。そして壊れるのが決まって田植えの真っ最中なのだ。
故に百姓というのは常にイライラしているものなのだ。
まあ良い。

最近の基本的な日常は、朝4時半頃目覚め五時過ぎには田圃に立って草刈りをしている。6時半頃一旦止め自宅に帰り出社の準備と朝食、本業が暇なときは時々昼休みに一旦帰宅して田圃の雑用をあれこれやる。午後も普通に勤務して帰宅。周りの人たちは夕方6時半頃まで草刈りをしているようだが、オラは夕食を食べて7時半頃の暗くなるまで草刈りをする。

日曜などの休日も一応朝仕事をする。だいたい集落の共同作業も5時半とかの早朝が多い。
休日といえども百姓仕事に休日はなく田植えの跡片付けや転作田の耕起などやることはいっぱいあるのだ。
山行きの誘いのほとんどをパスし青空に栄える鳥海や月山の姿を愛でながらの農作業は実に楽しいのだ(笑)

そんな中で何の気まぐれか自動車教習所に通う気になったのはへそ曲がりの証、およそ40年振りのことだ。もちろん免許取消になっての再交付のためではない。(念のため…)
大型特殊免許取得のためだ。教習所というのは少子化の影響もあってかかなり暇になったとは聞いていたが、忙しいのは春休みと冬休みに集中しているらしい。その時は臨時の教官で対応するらしいが…

大型特殊免許は農家のトラクターにも一部必要であるが、我が家のものは小型特殊でOKだ。ではどういう場合必要かと言えば、トラクターでも大きな機種や我が家のトラクター級でもハイスピード(15km/h以上)タイプの機種だと必要になる。近い将来何かの機会に乗ることもあるかと思うし、冬期の暇なときにはその辺の建設会社に除雪のアルバイトにも行ける。もっとも定年退職してからの話ではあるが…

で実際教習所に通うと自分がいかに歳を取ったかしみじみと実感する。
入校の手続きが済むと適正検査が行われる。教官が教習生の能力を判断するものだという。具体的に何をするかと言えば図形の間違い探しや単純な記述速度の測定、引き算のテストなどだ。あとアンケートみたいなのもあった。
この歳になるとそう言う運動能力や頭の切替、あるいは素直な感性みたいなのは若い時分に比べれば圧倒的に落ちているのを自覚できる。検査を受ければそれが如実に白日の下に晒されるわけだが、わかってはいるが実に情けない。なんか傷口に塩をすり込まれるような気がした。(笑)

それから6時間の所内での乗車講習、一日2時間まで受講できるので最短三日でOKなのだが、へたくそなら延長も十分あるとのこと。その後卒業検定を経て県の免許センターに行って手続きすれば即日交付となるそうだ。
で実際コースに出て一時間走ってみたが、何と疲れることよ(笑)
まあ普段車に乗っていることが日常だからそこそこ走れるのだが、感覚が全然違うので手や肩に力が入り汗だくだった。

初めはコースの外周をぐるぐると何度も走り、それからクランク、S字、方向変換、坂道発進、バック走行等々、二日目から教官の指示するコースを回りだめ出しを受ける。最後になって走り方のこつを伝授されるのだが、初めから教えろよと言いたくなるのを必死に我慢する。三日目には前日までの復習と卒検を受けれるかの判定を下される。そして卒検の注意点を伝授され無事終了するといよいよ卒業検定だ。

そんなに難しくはないが事前に渡されたコースが覚えられない。まあそれだけ頭が固くなっているのだろうが、検定員が教えてくれるので指示通りに走行すれば、余程のことがない限り(一時停止や信号無視等)合格するようだが、まあ少し緊張はしましたがね。これで卒業です。その数日後に天童にある免許センターへ手続きに赴くことになるのだが、行ったことのある人ならわかると思うが(オラは初めて行った)虚無感をひしひしと感じる時間と場所だったなぁ…
当然、交通安全協会費なんて払いません(笑)

現実を鑑みれば今のこの国では何らかの資格がないと仕事なんて出来ません。しかし世の中には自由業という職種があることも事実、一定の雇用関係によらず、時間に束縛されないで、独立して営む職業と定義されているが、組織に頼らず勝手気ままに自分の力量で生きていくことはある意味魅力的なことではある。が困難なことであることも容易に想像できる。

中年も後半に入ると(老年か?)退職後の生活設計にある程度目が向いてくる。かく言う私もそろそろと言う時期になったのだが、現実的に遊んで暮らせるような環境にはない。体力気力の低下が目に見え始めると気持ちばかりが焦ってくる。少し前までは、"Let it go" などと言っていたが、教習所でも自分の能力の低下に唖然とする場面が何度かあった。誰でも経験することなのだろうが、素直に従えるのだろうかと言う疑念が湧き上がる昨今だ。

読み返すと心が暗くなる記述ばかりで申し訳ないが良いことも少しだけあった。
先日の免許センターの帰り道、まっすぐ帰ってもお昼を過ぎる時間だったのでどこかで昼飯をと思いあれこれ考えながら運転してきた。
先日の草津白根山への小旅行で気になったのが、通過した沿線に蕎麦屋の何と多いことよだ。四万温泉の温泉街にも何件かあったが正直入る気にはなれなかった。あの辺は(信州、上州)蕎麦が名物なのだろうが飛び込みで入る気にはならなかった。

山形も蕎麦屋は多いが、個人的に好きな店は限られているのでどうしても新規開拓はなかなかしない。でも気になる店は数件あったので良い機会と立ち寄ってみた。ちょうどお昼時で車が一台あり中に入ると二人の先客が食べ終えていた。いつもはざる蕎麦だがこの日は空腹もあって板蕎麦を頼んだ。注文して5分も経たずに出てきたのには驚いたが、こういった店は好感が持てる。気の短い性分なので待つのは20分と決めている。
味はまあ普通かな。しかし喉ごしは良く量も申し分ない。頼みもしないのにコシアブラの天ぷらまで付いてきた。

特筆すべきはタレだ。通常のつけだれは良いとして、小鉢にもう一杯出てきて生卵が一個添えてあった。聞けばタレに生卵を溶いて食べるのだそうな。味は鰹ではないし鳥でもないし何だろう。でも美味しかった。この店はなかなか良いです。でも残念なことにこの日を最後に暫く閉店するとのこと。自分はつくづくタイミングの悪い人だと再認識する。
なんでこうなるのかなぁ…?

忙しいことはある意味良いことと前向きに捉えて生活できれば良いとは思うが、煩悩の多い雑然とした生活に慣れた自分はどうしても後ろ向きに捉えてしまう。
自分の気に合わない報道等に異様に腹が立って所構わず当たり散らすのは何でだろう。そんなの気にせず頭の上を通り過ぎるのをじっと待てば良いだけなのにね…(笑)
貧乏ひまなしとはよく言ったもんで次から次と舞い上がる問題、そう言えば最近忙しさにかまけて全然蕎麦打ちをしていない。原料はいつもの場所で忘れずに仕入れてきたのだが、山にも行きたいし、音楽も聴きたいし、沖縄辺りにも行きたいし、蕎麦も打ちたい煩悩の固まりだ。


やれやれ、果たして一体いつになることやら…